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【VR家族支援プログラム】第5回「自分の意見を控えて声かけをする」を開催しました(2025/9/19)


本プログラムは、2025年度日本郵便年賀寄付金助成事業として、VRによる当事者体験と参加者同士の対話を通じ、ひきこもり当事者と向き合う家族の理解と実践的なコミュニケーション力を高めることを目的としています。



こんにちは!ほっといい場所ひだまりスタッフです。

ひきこもりや不登校のご家族を対象とした「VRひきこもり家族支援プログラム」を全10回で実施しています。


2025年9月19日(金)、第5回目のプログラムを開催しました。


今回のテーマは「自分の意見を控えて声かけをするです。




はじめに:アイスブレイク


初めて参加されたご家族もいたため、軽く自己紹介をしてお互いのことを少しずつ知る時間を持ちました。


アイスブレイクではテーマカードを使い、「自分の意見を言わずに」相手に関心を伝える練習を行いました。




VRで体験する”よくある場面”:「何か言ってやらないと」と思ったとき


今回のVR映像では、仕事から帰宅した父親がリビングでスマホゲームをしている息子を見かけ、「またゲームか…」「このままでいいのか?」と複雑な気持ちを抱えながら声をかける場面が描かれました。


父親の立場では「何か言わなくては」と思って発した言葉が、息子の立場から見ると「プレッシャー」や「責められているような感覚」として受け取られてしまいます。


今回も、保護者と当事者、双方の視点を体験することで、「自分が良かれと思って言っていることが、どう届いているのか」を振り返る機会となりました。


VR体験の様子。まずは父親の目線から、家庭でよくある場面を体験してみます。
VR体験の様子。まずは父親の目線から、家庭でよくある場面を体験してみます。



参加者の声


①状況体験VR後


「父親の気持ちもわかるけれど、あれは『心配している人の態度』じゃない。追い詰めるのは違うと思う。その子との信頼関係がないと難しい」
「息子に『走りに行け!』って、走ればそれでいいのか?と思った。仕事の相手先にはあんな態度取らないはず。親の方も甘えがあるのでは」

「リビングで一緒に過ごしていたのは、母には心を開いているサインかもしれない。話しかけてほしかったのでは」

「うちの子も、話したいときはリビングに来る。モデルの息子も、もしかしたら何か伝えたかったのかも」
「自分の家庭でも、息子にはああいう『バチンとくる』やりとりがあった。娘とはそういう関係ではなかったけれど、ぶつかったあとが難しい」
「そのうち子どもが、お父さん帰ってきたら、顔合わせないように部屋に入って行っちゃうかも」
「意見を控えることは、『何もしない』ことじゃない。相手のペースを尊重することだと思う」


②工夫発見VR後

父親が声かけをする際の工夫や関わり方を模索する体験を行いました。


「心配してやってるという言い方がもうだめと思った。寄り添いたいと本当に思ってるのかな。子どもにはそう見えないのでは」
「ただ『心配だ、心配だ』って、子どもの目線に立つと『どういう心配なの?』と思ってしまう。父親自身が、何を心配しているか気づくべきでは?」
「父親が事前に情報をちゃんと仕入れて、若い人の間で流行ってるか聞くなど、興味に沿った話題で声をかけたら違ったかも。雑な声かけでは響かない。距離感を意識して寄り添う必要がある」
「座って話したらまた違うかも。部屋のレイアウトも良くない。みんなで話せるレイアウトの方が孤立感がない」
「スーツでカバン持ったまま話しかけるのは…。仕事モードで言われても安心感はない。業務的で威圧的に見えてしまう。トラウマがある人もいるのでは?大人として寄り添ってほしい」
「身内だからといって何でも許されるわけではない。相手の立場や過去の経験を考慮することが大事」

VR体験を通して、「つい自分の考えや価値観で行動してしまうが、相手の気持ちや状況を丁寧に受け取ることの大切さ」が浮き彫りになりました。



映像を見て、感じたことを共有します。これまでのエピソードも交えながら、どんな工夫ができそうかお話しました。
映像を見て、感じたことを共有します。これまでのエピソードも交えながら、どんな工夫ができそうかお話しました。


③実践練習VR後

工夫ポイントを取り入れた映像を見た後、参加者には「自分だったらどう伝えるか」を考えてもらいました。


「父親が別人のように笑顔で接していた。理由を言ってくれて、何を心配しているのかが分かった。子どもの視点で『あ、それが心配だったのか』と思えた」
「『ゲーム=悪』という価値観は昔のもの。今の時代に合わせてアップデートしたうえで関わってほしい。母が橋渡しするとよりスムーズかも」

「言葉がけ一つでも、一行足りないだけで誤解が生まれることがある。想定外の言葉が返ってきても、感情的にならないよう気をつけたい」
「うちは子どもに就労経験がない場合、親の気持ちを思いやるのは難しい。だからと言って家の中で追い詰めると、もっと居場所がなくなるので気をつけている」

VR体験と実践練習を通して、参加者は自分の声かけや関わり方を具体的に振り返るきっかけを得られたようです。


実践練習として、それぞれで考えてみた「自分だったらこう伝える」を声に出してみます。
実践練習として、それぞれで考えてみた「自分だったらこう伝える」を声に出してみます。
ホワイトボード。今回も気づきや工夫がたくさん共有されました。
ホワイトボード。今回も気づきや工夫がたくさん共有されました。


「伝えない」ではなく、「受け取る」


「自分の意見を控える」ということは、黙って耐えることではありません。


自分の価値観や不安に気づき、それを一度脇に置いて、目の前にいる相手の思いに目を向ける――そんな姿勢が、関係の中に小さな変化をもたらすことがあります。


今回のプログラムは、そのきっかけを見つける時間になったのではないかと感じています。



VRの映像は必ずしも「正解」ではありません。ご本人やご家族それぞれに合った伝え方を、時には苦い経験とともに、振り返って考えていきます。
VRの映像は必ずしも「正解」ではありません。ご本人やご家族それぞれに合った伝え方を、時には苦い経験とともに、振り返って考えていきます。


※本プログラムの基本的な構成や進行の流れについては、第1回の開催報告をご参照ください。



📢次回(第6回)のお知らせ


次回は、2025年10月10日(金)14:30〜16:00 に開催予定です。

テーマは、「会話を止め、その場を離れる」。


つい言い過ぎてしまう場面や、関係をこじらせずにその場を離れる工夫について、一緒に考えていきます。


詳細・お申し込みは ▶ https://www.hidamari.cns-net.or.jp/vr よりご確認ください。



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