【VR家族支援プログラム】第4回「自分の気持ちを伝える」を開催しました(2025/8/29)
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- 9月2日
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本プログラムは、2025年度日本郵便年賀寄付金助成事業として、VRによる当事者体験と参加者同士の対話を通じ、ひきこもり当事者と向き合う家族の理解と実践的なコミュニケーション力を高めることを目的としています。
こんにちは!ほっといい場所ひだまりスタッフです。
ひきこもりや不登校のご家族を対象とした「VRひきこもり家族支援プログラム」を全10回で実施しています。
2025年8月29日(金)には、第4回目となるプログラムを開催しました。
今回のテーマは「自分の気持ちを伝える」です。
「気持ちを伝えること」の難しさ
子どもと向き合う日々の中で、ご家族が悩まれることのひとつが、「伝えたいことがうまく伝わらない」というコミュニケーションの問題です。とくに、心配や不安といった気持ちが強いほど、ついきつい言い方になってしまったり、逆に言葉を飲み込んでしまったりすることも少なくありません。
今回のVR映像では、「母親が息子を起こしに行く朝の場面」が描かれました。

VR状況体験:母と息子、それぞれの立場から
親は、最近痩せてきた子どもの体調を心配し、何とか朝ご飯を食べてもらおうと部屋を訪ねます。しかし、声をかけても子は布団から起きようとせず、「いらない」とそっけない返事をするばかり。心配すればするほど、母の声かけは次第に責めるような調子へと変わっていきます。
「このままで本当にいいと思ってるの?」「そんな生活、いつまで続けるの?」
――その言葉に、息子はますます心を閉ざし、ついには「出ていって」と拒絶。母は戸惑いながらも部屋を出ていき、息子はひとり、うずくまるようにしてその場に取り残されます。
このVR体験では、母の立場と息子の立場、両方の視点から状況を見ることで、「伝えたい気持ちがすれ違ってしまう」家庭内での典型的な場面を、参加者一人ひとりが追体験しました。
参加者の気づき
VR体験後には、参加者同士で感想を共有する時間を持ちました。日常の中での言葉の難しさ、自分の思いとの向き合い方など、それぞれの経験から生まれた率直な声が交わされました。
「事件のニュースを怖がる子どもに、“でもそんなことばっかり気にしてたんじゃ出かけられないよ”とつい言ってしまった。あとで、“そうだよね、怖いよね”とまず受け止めればよかったと反省した」
「”あなたのために”という言葉が、うちの子には逆効果になる。“圧”として伝わってしまうんだと思う」
「食が細くなってしまった子どもに、少しでも食べてほしくて。“夫のために作ってるだけ”というふうに装って、無理なく食卓に出すよう工夫している」
「“いつまで寝ているの?”とよく言ってしまう。母親として朝からいろいろ頑張っているのに…という本音が出てしまっている」
「VR映像での“他の子はできているのに”という比較の言葉、自分も中学生の子どもに同じように言っていた。そのたびに決裂していたことを思い出した」
「いきなり部屋に入るのではなく、“おはよう、起きてる?”と声をかけて、“入ってもいい?”と確認してから入りたい。自分だったら、勝手に入ってきてほしくない。調子が良ければ出てくるのを待つというのも大事」
「“私は”を主語にして話すこと――たとえば、“ごめんね、私が心配で言ってしまった”と言えるようになりたい。単純だけど、すごく難しいと感じる」
それぞれの言葉の奥には、「伝えたいのにうまくいかないもどかしさ」や「本当は寄り添いたい」という願いがにじんでいました。VR体験を通して、自分の声かけが相手にどう届くかを見直すきっかけになった、という感想も多く聞かれました。


少しずつ、言葉にしていく
「自分の気持ちを伝える」ことは、簡単ではありません。とくに、家族のように距離が近く、感情が揺れやすい関係の中では、なおさら難しくなります。
だからこそ、自分自身の中にある本当の気持ち――心配・不安・寂しさ・願い――にまず気づくこと、そして、責めず、押しつけずに伝えていくことが大切です。
今回のプログラムは、そのきっかけを見つける時間になったのではないかと感じています。

※本プログラムの基本的な構成や進行の流れについては、第1回の開催報告をご参照ください。
📢次回(第5回)のお知らせ
次回は、2025年9月19日(金)14:30〜16:00 に開催予定です。
テーマは、「自分の意見を控えて声かけをする」。
本プログラムへの参加費は無料です。「どう接すればいいかわからない」「距離を縮めたいけれど難しい」そんな悩みをお持ちのご家族の方へ、ぜひご参加いただけたら嬉しいです。
詳細・お申し込みは ▶ [https://www.hidamari.cns-net.or.jp/vr] よりご確認ください。





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