【VR家族支援プログラム】第6回「会話を止め、その場を離れる」を開催しました(2025/10/10)
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- 10月21日
- 読了時間: 5分
更新日:10月30日
本プログラムは、2025年度日本郵便年賀寄付金助成事業として、VRによる当事者体験と参加者同士の対話を通じ、ひきこもり当事者と向き合う家族の理解と実践的なコミュニケーション力を高めることを目的としています。
こんにちは!ほっといい場所ひだまりスタッフです。
ひきこもり・不登校の方のご家族を対象とした「VRひきこもり家族支援プログラム」を全10回で実施しています。
2025年10月10日(金)、第6回目のプログラムを開催しました。
今回のテーマは「会話を止め、その場を離れる」です。
つい言い過ぎてしまう場面や、関係をこじらせずにその場を離れる工夫について、参加者のみなさんと一緒に考えました。
はじめに:近況報告とアイスブレイク
今回は、近況報告も兼ねたアイスブレイクを行いました。
真ん中で話すペアと、周りで距離を置いて見守る人を分け、距離感の違いや、離れているから気づくこと・湧いてくる気持ちを体験してもらいました。
参加者からは、
「勉強を続けてきて、自分も明るくなってきていると感じる」
「家の状況は変わらないけど、思わぬ嬉しいことがあって最近はウキウキと過ごせていた」
「他の人が話しているのを見て、『私も私も!』と言いたくなった」
といった声があり、温かい雰囲気でスタートしました。
VRで体験する”よくある場面”:話し合いがしたいのに、つい言い過ぎてしまう
今回のVR映像では、母親が息子とこれからについて話そうとするものの、なかなかうまくいかず、つい感情的になってしまう場面が描かれています。
話し合おうとしてもケンカになり、止め時が分からずに決裂、悪循環に陥る――そんな状況を体験してもらいました。

参加者の声
VR体験を通じ、参加者からは様々な気づきや感想が寄せられました。
①状況体験VR後
「学生時代の子どもには『こんなダラダラしてていいの?』と感情的に声をかけていた。前は焦りや強い気持ちで話していたけれど、勉強をつづけた今は、相手を責めたり論破する必要はないと感じる」
「『ゲーム終わってから話があるんだけどどう?』と終わってから話すのはどうか。ゲーム中に言われたらうるさいだろうなと思う。自分だって同じ気持ちになるかも」
「これまで話し合いが上手くいかなくて、親の『今日こそは』『けりをつける』という気持ちが出やすい。日常的に言ってしまいそうな言葉がたくさん出てきた」
「当初子どもは転校も考えていたし、強い意志があったのだと思う。学校は協力してくれていたけど、本人が不登校になった理由は分からないまま…。いつか教えてもらえるだろうか。振り返ると申し訳ないことをしたなと思う」
②工夫発見VR後
「うちの場合、肝心なことを言おうとすると本人の心の扉が閉まる。『どうするの?』と聞ける状況があるだけでもすごいと感じた」
「VRを体験して、息子は動画を見ていたことが分かった。"ゲームに熱中している"と思い込んでいた自分に気づいた。先入観は怖い」
「子どもは敏感に親の機嫌を感じ取る。親に余裕がないと、対面に座っただけでも『また何か言ってくるかも!』と身構えてしまうみたい」
「お母さんの心配は分かるが、子どもは焦りを感じる。このままどこかに連れて行かれるのでは?『この求人に応募しろ!』とか言われるのでは?などと心配になる。自分も本音は母のように言いたいが、それでは良くない、親も訓練が必要と思う」
「会話を止めることって難しい。もし最初の様に言ってしまった後は、一旦買い物に出てクールダウンすることも考えられる。子どもの好きな食べ物を買って戻ってきて話す、など」
「『これ以上話してると、言い合いになりそうだから、お母さんクールダウンしてくるね』『ちょっとスマホ充電してくるね』とかはどうか。本音は『いつなの?』と思いつつも、『あなたのタイミングで話してくれると嬉しい』『気が向いたら』とタイミングを尊重することを大切にしたい」
「夫婦間でも同じようなシチュエーションがある。工夫のポイントは一緒かも」

③実践練習VR後
「親から攻撃的なオーラが出ていなかったので、子ども目線では話を聞いてもらえそうと感じた。一度断っても『やっぱりいいよ』と言いたくなる」
「これまでの付き合いで、子どもは親のパターンを読んでいる。『親の攻略法』とは違うやり方を試すことで、新しいパターンを作れるかもしれない」
「モデルのお母さんの気持ちはすごく分かる。普通に暮らしていたら、こういうやり取りはあると思う。でもうちの子に対しては、気持ちを押し付けず、『気が向いたら話してね』と寄り添うことが大切。意識するようになった」
「勉強することで、一緒にいて辛くなくなり、分からないことも受け入れられるようになった」
「表面上は仲が良くても、大事な話はできないこともある。でも、子どもは実は話したいと思っているかもしれない。同じテーブルで少しでも話ができることは、未来につながるかもしれない」


対話をつづけるために、一旦”会話”を止めてみる
今回のプログラムでは、つい言い過ぎてしまったり、話し合いがこじれてしまう場面を体験しました。
そんなとき、親が一歩引いて会話を止めてみることでお互いに落ち着き、子どもが安心して心を開く余地が生まれます。
参加者からは、
「親が落ち着いた対応で一旦引くと、その後に子どもから話してくれそうと感じた」
「改善版のお母さんは自然だった。最初からできていれば、子どもと話しあえていたかも」
といった感想がありました。
日常の中で少しずつ取り入れることで、安心して話せる時間が増えたり、親子関係に小さな変化を感じられるかもしれません。
※本プログラムの基本的な構成や進行の流れについては、第1回の開催報告をご参照ください。

📢次回(第7回)のお知らせ
次回は、2025年10月31日(金)14:30〜16:00 に開催予定です。
テーマは「安心につながる情報を伝える」です。
当事者が安心できる情報の伝え方や、支援につなげる工夫について、一緒に考えていきます。
詳細・お申し込みは こちらからご確認ください。






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